大井川流域 天狗岳 (1026m) 2010年12月11日

所要時間 7:05 旧登山口?−−7:19 現登山口−−7:28 最初の送電鉄塔−−7:59 2つ目の送電鉄塔−−8:05 巡視路分岐−−8:14 一本杉峠−−8:32 天狗岳 8:37−−9:11 現登山口−−9:18 旧登山口?

概要
稜線北側を通る送電線の巡視路で一本杉峠まで登り、あとは薄い登山道を山頂まで登り、帰りは適当に北側に下った。登山口は「一本杉峠」の標識あり。送電線下を除いて植林が続き山頂の展望は皆無。



 静岡の南ア深南部前衛に当たる広大な部分には私にとって未踏峰がたくさんあり、天狗岳もその中の一つだった。そろそろ路面凍結が気になる季節で、今週の雨で北の方や高いところは軒並み車道も積雪したことだろう。それに対して南方の静岡はそれほど標高を上げなければまだ凍結は大丈夫で、今回は富士見峠付近の山に出かけることにした。その最初に天狗岳を選んだ。天狗岳は山頂付近まで破線が描かれているがイマイチ信用していいのか分からず、もし道が無くても適当に登れるだろうと気軽に考え、事前にネットで調査しなかった。この程度の山は独力で登った方が藪山歩きの勘を養えるというものだ。

旧登山口か? ここから登った 古〜い標識。間違ってはいないのだが・・・

 甲府南ICで降りて国道52号線を延々と南下し旧興津で国道1号バイパスに出て、あとは井川の案内に従って進む。この付近は第2東名建設の影響か、道が変わってしまっていた。でも安倍川沿いに出れば毎度の道で井川目指して登っていく。横沢を過ぎて人家がなくなり、最初のヘアピンを曲がって少し走ると斜面に古びた標識と踏跡入口を発見、かなり文字が消えているが天狗岳、一本杉峠の文字が断片的に読み取れた。まさか今でも道があるとは思わずラッキー! 夜で上空の送電線の有無が確認できないが、おそらくここが地形図の破線であろう。道路の反対側の路側が広がっていて駐車可能でここで仮眠。夜間はほとんど車が通らずゆっくり眠れた。

まだ薄暗い植林を登る 露岩が登場すると踏跡が薄まる
車道に出てしまった! ここが本当の登山口
登山口の案内標識 沢にはワサビ田

 翌朝、飯を食って出発。杉の植林帯を登ると露岩混じりに尾根になり踏跡が薄くなるが小尾根を適当に登っていく。しかしそのうちに上方にガードレールが見えるようになって車道に出てしまった! そして車道を僅かに歩くと「一本杉峠」の案内標識が出ている短い車道が左に入っていた。なんとここが天狗岳の正しい登山口だった。上を見ると送電線が通っており、間違いなく地形図の破線だった。今から車を取りに戻るほうが効率が悪いのでこのまま登ることにした。ここは車2台くらいが駐車可能だ。登山口には南アで見かける赤い矢印の登山道標識があった。ここはすぐ先に沢が流れ、その上部にはワサビ田が見えていた。

巡視路を登る 最初の鉄塔

 短い道が終わると踏跡になるが、小尾根を登る巡視路の他に沢を渡った先にも道がありいきなり迷う展開。ここで地形図を見ると小尾根を登ることになっており巡視路がそれに該当する。破線は途中まで送電線に沿っており、しばらくは送電線巡視路を歩けばいいようだ。さすが巡視路はよく整備され体に触れる藪は無いし歩きやすい。

 最初の送電鉄塔を通過し、地形図ではそろそろ送電線から離れて尾根を登るはずだがそのような踏跡がないか気にしながら登ったがただの植林帯で道はなかった。まあ、藪も皆無なので適当に登ってもいいのだが。もう一度地形図を確認、このまま巡視路を登って稜線上の鉄塔に出たとしても一本杉峠のすぐ近くで大きなロスにはならず、稜線直前で適当に斜面を登れば峠に直接出ることも可能だろう。登山道の確認をかねてこのまま巡視路を進むことにした。

地形図に破線がある尾根。破線の道は存在しない モノレール登場。上部は笹が見える
巡視路を登る 巡視路から左に外れたところにあった標識。でも道は無い

 次の谷でモノレールの軌道が巡視路を横切って上に向かうのを発見、よほど登ってしまおうかと思ったが、左方の斜面上方には笹が茂っているのが見え、ここの上もあれだったらヤダなぁと思って断念。さらに5分程度登ったところにある小さな谷の左側の尾根上に赤い矢印標識を発見したのでそちらに行ってみたが踏跡はなく、目印も矢印の続きも無い。もっとも、赤い矢印標識はここまで数えるほどしか確認できなかったが。少し悩んだがまだ巡視路を歩くことにした。

2つ目の送電鉄塔 巡視路分岐でこの沢を登る
分岐標識。No.2-70の方向に進む 沢が終わる
この目印はよく見られた 一本杉峠の大杉

 沢を越えるところは橋が架かっておりこれまた歩きやすい。橋が無くても渡れる程度の小さな沢ばかりだが橋が無いよりは歩きやすいので助かる。割と頻繁にテープが見られるが巡視路のマークというより登山道のマークであろうか。杉の幹に白い丸のペイントも良く見られた。小尾根を登って次の送電鉄塔へ。そして次の沢で巡視路の案内が2方向に分岐した。このまま尾根をトラバース気味に登る直進ルートと左の沢を登るルートだ。しめた、この沢を登ればおそらくは稜線の鉄塔より手前の一本杉峠に出そうだ。迷うことなく左の巡視路に入るが沢沿いは道が不明瞭で適当に上がっていくが、その上の植林帯も踏跡が薄い。まあ、藪は皆無なので適当に上を目指して登っていけばいいが。

一本杉峠 いつの石碑だ?
古い案内標識 天狗岳方向

 やがて一本杉峠に到着、周囲は杉の植林だが太さの格が違う一本の大杉が立っており、これが峠の名前の由来だろう。巡視路はここで右に折れて稜線を登るが、天狗岳は逆の左側の稜線を行く。稜線は明瞭で迷うことはなく目印が点在していてそこそこ歩く人が多いように思えた。延々と植林帯が続いて展望皆無なのがつまらないが、こんな場所は花粉が飛び始めたら登れないので私にとっては今頃が適期だろう。

僅かに笹が出るが障害にならない 植林の尾根を登る
だだっ広い山頂部に出た 天狗岳山頂。標識の標高は誤り

 傾斜が緩むと山頂の一角で、南北の2重山稜と化して山頂がどこなのか非常に分かりにくい。最初の北側ピーク奥にはこの稜線の道とは外れた場所に赤矢印目印が下がっていた。これは地形図の山頂北側の破線ではなかろうか。帰りはショートカットでこの尾根を少し下ってみるか。GPSの電源を入れたが植林が濃くて衛星が捕捉できず、もう少し高い所がないか進んでみると右手のピークに山頂標識がかかっていた、周囲のピークより明らかに高いわけではなく判断に迷い、GPS衛星が捕捉できないか待っていたら捕捉完了、誤差30mほどなのでここが山頂で間違いないだろう。ここも植林で展望が無いが、少し西側に行くと伐採地があって西側のみ展望があった。

 登りではそれなりに遠回りになるルート取りだったので、帰りはショートカットすべくさっきの矢印標識から東に伸びる尾根を少し下り、あとは適当に北を目指して下ることにした。登りの感触では笹があっても僅かでほとんどは植林帯の下りだろうからどこを歩いても問題無しだろう。さて、どう下ろうかと地形図を見ようとしたらポケットに無い! 一本杉峠では間違いなくあったので、たぶん峠近くで落としたのだろう。地形図が無いと下るべき細かい方向、尾根がわからずリスクが高いが、どこかで送電鉄塔さえ見えれば方向確認が可能なので実行することにした。

地形図の破線がある尾根入口に標識あり でも尾根上に踏跡、続きの目印皆無
ちょっとだけ笹が出る 尾根を外れて北北東を目指す

 主稜線を外れて右に進むと尾根は大きく右に曲がって真東に近い進路となった。ここで少し北側斜面に下って樹林の隙間から鉄塔を確認、登りで最初に見た鉄塔はまだかなり右(東)に見えている。尾根に戻り東に下ると傾斜が緩んだところ(900m付近)でちょっとだけ笹が出てくるが深い植林で日当たりが悪く藪山のような笹の勢いが無い。

適当な尾根を下る 植林の終わりで鉄塔を確認できた

 登山口は山頂より東にあったはずなので少しこのまま進んでいいが、行き過ぎると厄介なので磁石で東に寄り過ぎないよう確認しながら適当に左の斜面を下っていく。延々と植林が続いてなかなか視界が開けず進路が心配だったが、植林帯が終わって自然林との境界でようやく現在位置が確認できた。目的の鉄塔に続く尾根を既に乗り越えてしまっており谷1本分東に寄っていたが、この付近はそれほど険しくはないのでたぶんこのまま谷を下っても大丈夫だろう。

 この時、先日の奥秩父の大平原南鞍部で大型動物と出会ったときと全く同じ状況が発生。ここは背の高い樹林だったので黒い動物の姿が僅かに見えたが熊かカモシカかの判別ができるほどの時間ではなかった。今回も荒い鼻息の様な声?を時々たてながら鹿ほどの快速ではないスピードで下っていった。今回の場所なら猪の可能性もある。さて、正解は何だろうか。

沢に出た ワサビ田跡
巡視路に出た 出た場所は最初の鉄塔の手前の沢

 沢に出るとあとは滝が出てこないことを祈りつつ、沢の中を歩いたり急な箇所は右岸、左岸を高巻きして通過する。うまい具合にヤバい地形が出ることがなくワサビ田跡に出た。その先は沢の傾斜も緩んで沢の中を歩き、すぐに巡視路に出た。登りで見た最初の鉄塔のすぐ下の沢だった。地形図が無いままほぼ希望どおりの場所に出ることができた。

帰りの登山口 車に到着

 登山口には軽トラが2台、たぶんワサビ田で作業中だろう。さらに下部の私の車を置いた場所まで戻った。 

 

2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る